長野先生ドイツセミナー

ドイツセミナーライブ

 

 代表 長野康司

早いもので、フランクフルトに着いて4日目を迎えた。いよいよ講演当日(平成23年10月30日)になる。自然体で行こう。会場は2階の「赤いサロン」、大きなテーブルがあり20人位座れるようにしている。ビデオの撮影もスタンバイ、マイクを胸に付けてくれる。浅井氏(ドイツ人で通訳専門家、日本に10年以上在住)と打ち合わせ、今日の講演の段取り(流れ)をいう。私に与えられた時間は10時から17時半まで休憩時間を除いて実質5時間。ホワイトボードはないが、キャンパスの紙を用意してくれている。定時スタートで、ゾロゾロ集まって来る。最終的には23人参加があった。あとで分かったが半数以上はドクターだった。
 長野式治療の特徴から説き起こし、診断法に入る。脉診のとき、驚いたことがあった。脉状の三層を殆どの人が知っている。中医や東洋はり、独学で勉強しているからだろうか。火穴診に入ったとき、どうしてそれを取るのかという質問。腹診では後世派のことは知らなかったようだ。
 午後から処置法に入り、免疫系から始める。アレルギー処置のときはにわかに質問が活発になった。ドイツでも花粉症があり、アレルギー疾患や体質の人が増加しているという。内ネーブル処置の説明を詳しくする。IgE抗体の話をしたが、特に疑問や異論はでなかったようだ。滑脉のことも話したが、脉のイメージが分からないみたい。図解などする。東京、大阪セミナーでやっている脉状のイメージトレーニングのことを話すと黙って聞いていた。脉診をやっている人もかなりいた。
 血管系の話になると瘀血と鬱血との違いの質問があった。肝門脈鬱血の話をすると異論はなく、黙々とノートを取っていた。会陽の解剖的な意味もいう。それと数脉の場合の処置も話す。肝以外の臓から抑え込むのを図解しながら謂うと分かってくれたようだ。骨盤虚血処置の話をする。脉状のこと、この意味も話して行く。灸頭鍼のことも触れると知っている人が多いのだろう、特に驚く風もなかった。冷え性のことも話し、この体質を変えていくのは施灸がいいというと黙って聞いていた。お灸も大半の人がしている。骨盤鬱血症の意味も黙して聞き耳を立てていた。
自律神経・内分泌系の話に入り、自律神経亢進・低下の処置は照海、兪府両方使えるという話もする。副腎髄質の解剖的意味から、この腎経の火穴の反応のことも謂うが、黙って聞いていた。筋肉系に入る前に時間が来てしまった。

実技は2時間半当てる。まずアレルギー処置の内ネーブル4点の皮内鍼を実演する。ドイツでは平軸の皮内鍼は殆ど使われていない。故にそれを固定するテープがない。仕方ないから円皮鍼を固定する。これに対する質問が多かった。どの位の間隔でするのか?通年性アレルギー性鼻炎でも効果はあるのか?云々。
アレルギーの起こり方から話し、この実態はIgE抗体(1966年、石坂公成氏がこの抗体を見出した)ができやすい、これを出来にくくするか、排除して行くのがこの処置である。故に施灸することによって、この疾患や体質は治っていく(全てではないが)と。他には花粉症の処置はこの時期ずっとやっていくのかなど活発な質問が相次いだ。
モデル治療

最初は30代後半の女性。以前から顔がむくむことがある。アレルギー体質だという。脉は細 滑 右天枢(+) 中注(+) 左陰陵泉(+) 天牖(+) それと上腹部の冷えが強い。「これらの所見は治るのを阻害しているのですよ。体がそう訴えています。」という。これに対する処置をやっていく。扁桃、肺実、瘀血とやっている間、上腹部の冷えがなくなり、本人曰く「足の先も温もってきた」と。脉を診ると細が少し広がっていた。一通りの処置を終え、確認の為、お腹を触ると上腹部の冷えは
消失、右天枢を残し中注も消失している。「右天枢は肺に相当し、アレルギーと関係が深いのでこれだけ残ったのでしょう。」という。彼女は笑顔でありがとうといって寝台から降りた。
次の患者はドクターで右坐骨神経痛。アレルギーもあり花粉症も持っている。脉はほぼ滑 左天枢(+) 左中注(+) 右陰陵泉(+) 右行間(+) 体が正直に教えてくれている。右坐骨神経痛の反応は幾つか出ている。まず、扁桃、肝実、瘀血の処置をして次に右側臥位で坐骨処置。私はやりながら、この人は多分楽になるだろうと思っていた。
まず、このドクターは山登りが趣味でそれをしているとき、足を広げる動作などで3週間前から痛みが発症した。つまり悪くなって日が浅い。それと今日この席に参加しているということ。酷かったらここまで来れないはずだ。坐骨処置をした後、仰臥位で両膝を曲げて腰を浮かせる動作をさせた。するとこのドクター、ニヤッと笑って痛くないそぶり。それから歩いてもらう。痛くないと本人がいう。私は内心ホッとした。
 この後、帯脈処置の実演もする。これは応用範囲が広いですよ。運動器だけでなく、頭痛や顎関節症にも有効のことも話し、この帯脈の古典的と解剖的意味も話す。黙って聞いていた。施灸の実演も要請されたのでやることにした。ウイーンから参加していた内科と漢方をやっているドクターはこの光景を小型の日本製ビデオカメラに収めていた。出席者の多くは施灸をする。直下灸までしている人は少ないようだ。
 時間が来たので一応終えたが、方々から長野式治療の英語版はないのかと聞かれる。中には日本で研修を受ける為にはどうしたらいいのかとか、見学に行きたいとかいろいろ言ってくれた。私は嬉しかった。講演の間、先代の写真立てを置いていたが、終わったとき思わずそっちに目をやっていた。通訳の浅井氏は医療は初めてという専門外なのに一生懸命、専門用語をドイツ語に訳してくれた。

 長野式治療は国内だけでなく、ドイツでもいや世界の他の国でも同じように効くのだというのが分かって非常に嬉しかった。あとは発信する為に英語力を身に付ければ世界中何処でも治療できるなと実感したのである。